バロック絵画の巨匠とよばれるベルギー・フランドルの画家ペーテル・パウル・ルーベンスは1600年から1608年の8年間イタリアに留学しました。23才から31歳までの青春時代と言ってよろしいでしょうか。
最初の訪問地はヴェニツィアだったようです。そして、マントヴァ公国の宮廷画家に召し抱えられます。マントヴァを拠点としてフィレンツェ、ローマ、ジェノヴァ(短期間には、ヴェローナ、ミラノなども挙げられますが)にも滞在しました。
今回私にイタリアのルーベンスを辿る旅に出たいという強い気持ちにさせたのは、アントワープでの彼の作品の原動力、源はイタリーの滞在で培われたものであることが分かったからでした。
天性の力量に加えてルーベンスの若き時代のほとばしるエネルギーによる模写力、精神力を育てた環境。ルネッサンスが花開き、教会建築、絵画などできらめくような反宗教改革の盛りのローマの町で呼吸していたルーベンスの姿を見つけたいと思ったのです。