ルーベンスのパトロンたち

1609年9月、夫婦揃って美術愛好家であるスペイン領の統治者であるアブレヒト大公夫妻から、宮廷画家になることを望まれ、破格の条件でお受けしました。
特別に、宮廷のあるブルッセルではなくアントワープに住むことを許されています。夫妻は、最後まで芸術を支援してくれました。

ルーベンス『アルブレヒト大公』『イザベラ大公妃』ニコラス・ロコックス邸

ルーベンス『アルブレヒト大公』『イザベラ大公妃』ニコラス・ロコックス邸

 

また、市庁舎の玄関を飾る作品を注文してくれた、アントワープ市長ニコラス・ロコックスとは、家同士も近く、昵懇の間柄で、ルーベンスは、この時期に『サムソンとデリラ』も注文に応じて制作しています。
旧約聖書の有名な個所です。
イスラエルの民をペリシテ人などの他部族から救った怪力の持ち主サムソンが、自らの強さが髪の毛にあることを、ペリシテ人の娼婦デリラに明かしてしまったことから、彼を眠らせて髪を切ってしまい、神通力をそいでしまうお話です。
(旧約聖書 士師記16章)に書かれています。
敵のペリシテ人の娼婦デリラも妖艶な美しさを漂わせています。

ルーベンス『サムソンとデリラ』ロンドン ナショナルギャラリー 1609年

ルーベンス『サムソンとデリラ』ロンドン ナショナルギャラリー 1609年

この画は個人用で市長の家の居間に飾られていましたが、今はロンドンのナショナル ギャラリーで見ることが出来ます。

また、「フランダースの犬」で有名な、アントワープ(アントウェルペン)の聖母大聖堂の祭壇画『キリスト降架』もロコックスからの依頼で制作されました。(後に記述します)

ちなみに、ニコラス・ロコックス邸は、現在、スナイデルス邸と合体し、スナイデルス・ロコックス邸として公開されています。
ルーベンス以外にも、ファン・ダイク、ヨールダンス、ブリューゲルなどの作品も展示されており、17世紀当時の邸宅の様子を知ることができます。

入り口がこじんまりとしたニコラス・ロコックス邸入り口

入り口がこじんまりとしたスナイデルス・ロコックス邸入り口

ロコックス邸宅内部

ロコックス邸宅内部

タブレットが貸与され、展示品の解説が表示されます

タブレットが貸与され、展示品の解説が表示されます

ルーベンス『Maria in aanbidding voor hetslapende Jezuskind』スナイデルス・ロコックス邸

ルーベンス『Maria in aanbidding voor hetslapende Jezuskind』スナイデルス・ロコックス邸