母に宛てたローマからの手紙~その2

母上、

いま、フィリップ兄さんと一緒に暮らすことができました。
スペイン広場に近いストラーダ デ・ラ クローチェに快適な一軒家です。
これも母上の援助のおかげと深く感謝いたします。

この頃は ゴンザーガ家の財政もかなり苦しいらしく私へのお給金も滞りがちなのです。
そのことは私には都合の良いことでもあるのです。
私を縛り付けず自由にローマにいることを暗黙の裡に許してくださっているからです。

ボルゲーゼ枢機卿、ジェノヴァ出身のジャコモ・セッラ僧正というような政治力もお金もある偉い方々にお会いして、
美術品のコレクションを拝見できることはローマにいなくては出来ないことです。
感激しております。

ポールより、     1605年

多くの芸術家のパトロンであったボルゲーゼ枢機卿の別荘がボルゲーゼ美術館として多くのコレクションを展示

多くの芸術家のパトロンであったボルゲーゼ枢機卿の別荘。現在はボルゲーゼ美術館として多くのコレクションを展示。

※若きルーベンスが故郷にあてた手紙を想像して書いています。