2018年2月のフィレンツェの街も、また観光客であふれていた。
私の確認不足から予定した旅程では時間の足りないことがわかり、
汽車がサンタ・マリア・ノヴェッラ中央駅に着くや否や、ラゲージを預けて、
飛ぶようにサン・ロレンツオ教会とメディチ家の礼拝堂へ、急いだのだった。
納骨堂にはミケランジェロの彫刻作品、「聖母子像」「曙光」「黄昏」「昼」「夜」がある。
輝く白い大理石の女性・男性の横たわった姿である。
ルーベンスもこれらを目にして模写をしているようだ。
赤色のチョークでの模写も残っている。彫刻の冷たさを絵画の柔らかさに変えることを考えたのか。
続いて訪れた花の聖母寺院ドオモの見学も、セキュリティチェックのために、寒風の中長蛇の列であった。
私の前にも日本から卒業旅行で友達とやってきたというグループが予想外の寒さに震えながら並んでいた。
土曜日、日曜日に当たると見学時間が制限されるところが多い。しっかり検索しておく必要があると反省した。
それにしても こんなにも美しい巨大な大量の大理石を産出するイタリアは、どこまで芸術を高める運命を担っているのだろう。
ドゥオーモとサン・ジョバンニ礼拝堂とジォットの鐘楼が白色、淡い赤色と緑色と外壁をカラフルな大理石で飾られている建築物風景は、見ただけでフィレンツェを世に知らしめ、それはこの世の物とも思えぬ豊かな財産である。
安堵感と共に駅に引き返してホテルへとタクシーに乗った。
土曜日の昼下がりのホテルのチェックインは想像を絶するものだった。
ホテルがポンテ・ヴェッキオ近くだったため、
土曜日の昼下がりの混雑した群集の中を突破するのに、
タクシーの運転手は、なんといきなりラジオから大音響の音を発して
人を蹴散らして車を進行させた。
旧市街内では、「クラクションを鳴らせないから」と運転手は言っていた。
以前に訪れたときは、車のクラクションとバイクの音が、石畳に響き、
ゆっくり眠れなかったのを思い出したのだった。