ヴェローナ その2~シェイクスピアを想う

シェークスピアはこの町、ヴェローナを舞台にして戯曲を書いている。

多くの観光客が訪れるジュリエットの家

多くの観光客が訪れるジュリエットの家

「ロミオとジュリエット」である。ジュリエットの家のバルコニーは今でも名所になっていて、沢山の若者たちがジュリエットの銅像の胸を触って写真を撮っていた。恋の成就を願っているらしい。家への入り口の高い壁にはギッシリと落書きがしてあった。縁結びの神様になっているのであろうか?

“ヴェロナの二紳士”という話もある。話の中ではマントヴァが逃避の場所。

そういえば、ヴェネツィアを舞台にした“ヴェニスの商人”もある。つくり話であるが、ユダヤ人が大きな商売を自由にできたのはヴェネツィアならではと思う。

古代ローマ時代から続くエルベ広場

古代ローマ時代から続くエルベ広場

“オセロ”もムーア人が元首になるのはあり得ない話という事だが、シェークスピアにはあり得ないことを劇的に書く才能があったのであろう。

シェークスピアは終生外国へ行った経験はないのに、なぜイタリアを舞台にした作品が多いのであろうか?
今回その謎が解けた。 続きを読む →

ヴェローナ その1~アレーナ、ドゥオーモ

ヴェネツィアからヴェローナへ向かう車窓から

ヴェネツィアからヴェローナへ向かう車窓から、ルーベンスの時代を想う

ルーベンスがヴェローナに滞在したという記述はお目にかからないが 「兄フィリップとヴェローナで会った。」という1行を見つけた。ヴェネツィアからマントヴァへ行くには当時もヴェローナを通過して行ったはずである。マントヴァは水に囲まれた町に訪れるルートが多いとは思えない。現在もヴェローナ発マントヴァ行きの電車が何本も出ているが、古の道路に沿って鉄道が敷かれたと想像する。

車窓からの風景はこれからの季節が美しいと思われる田園風景が広がっていた。ルーベンスはマントヴァへと旅路を急ぐ通過町として、横目で眺めながら心引かれていたのではないだろうか。今回は私の興味で留まることにした。 続きを読む →

友に宛てたヴェネツィアからの手紙

Rubens_selfpotrait* 親愛なる友 モレトス君、

ヴェネチアに着きました。活気に満ちた雰囲気を充分楽しんでいます。

お知らせしたいことがあります。ここでは印刷機が大変な働きをしています。印刷術も進んでいます。

当地は宗教分離している自由国家ですので ビザンチン帝国に集まった中東から古代資料が自由に入ってきます。
あらゆるものがここで印刷されるのです!
あらゆる分野のもの、ギリシャの哲学、詩、イスラム文化、歴史書も印刷されています。

又B5版という形の本ができているのには驚きました。携帯に大変便利でポケットに入ることから普及しています。

是非一度、君も勉強にきて故郷で役立ててください。

パウルより

(* モトレス・・・ポールの3年下級生の学校友達。親はプランタンという大きな印刷会社を経営している。)

※若きルーベンスが故郷にあてた手紙を想像して書いています。

師へ宛てたヴェネツィアからの手紙

Rubens_selfpotrait* オットー・ファン・フェーン先生

やっとヴェネチアに到着しました。元気でおります。色彩的に魅了されております。
偶然ですが、一人の紳士と出会いました。その方は、マントヴァ公国から来た方でした。
自分の画をお見せしたところ、マントヴァ公ゴンザガ公爵に取り次いで下さるとのことでした。アントワープから推薦状も持参していることから、この好機が実現すれば、まことに幸運と希望が湧いてきました。

フラーリ教会でティツィアーノという画家の描いた祭壇画を見ました。
ヴェネチアは湿気が強いためフレスコ画が向いていなくて、船の帆布に描かれているとのことです。ヴェネチアならではですね。

祭壇画は“聖母被昇天”がテーマです。色彩の美しさ、構図の素晴らしさに感動しました。
画家はすでに亡くなっていますが、ヴェネチア生まれの画家ですので、ヴェネチア人の誇りとしてフラーリ教会に永遠に飾られていくことでしょう。

ヴェネチアは画材が豊富です! 続きを読む →

母に宛てたヴェネツィアからの手紙

Rubens_selfpotrait*母上、

その後お元気ですか?
やっとヴェネツィアに到着してほっとしております。天気も良く本当に美しい街です。海と空と建物が一体となって絵画のようです。
季節が良いのかすべて輝いて見えます。

一番の観光地、聖マルコ寺院へ行きました。
イエスの12弟子の一人マルコの遺骨はエジプトで買われ、ヴェネチアに持ってこられ、ドージェという元首が個人の教会を建てて祀ってました。
ドージェの館も中の装飾が素晴らしいとの評判です。
運河では ゴンドラという瀟洒な舟に乗りイタリア民謡を歌いあげ盛り上げてもらいました。

今年は1600年で聖地巡礼が奨励されて、人々はヴェネツィアからエルサレムへ向かうので港は繁盛しています。

書きたいことが沢山ありますが今日はこれくらいにしてまたお便りします。
私は 元気でおりますのでご安心ください。
母上もどうぞお体大切にお願いいたします。

貴方のパウルより

※若きルーベンスが故郷にあてた手紙を想像して書いています。